寝起きの良し悪しはその日の気分にそのまま反映される。今日は残念ながら悪い日。こういう日はやるべき雑務を淡々とこなすに限る。
午前中、浄化槽の清掃業者がやってきた。くみ取りをするという。開け放した窓から悪臭が入り込んできたので一旦閉めることにした。
あの業者は1日に何軒の家を回るのだろう。こうして毎日のように悪臭にまみれて嫌になったりしないのだろうか。そんなふうに考えると、先ほど「うわっくさ!無理無理」と速やかに窓を閉めた自分を恥ずかしく思った。
もしかしたら前世からの因縁というのもあるかもしれない。それでも彼が徳を積んでいるという事実に変わりはない。僕はただただそんな彼の幸せを願った。
いつからか習慣になっていた昼食後の読書も今日はするりとスルーした。その代わりに日記を書いた。つらつらとまたいつものように辛み節を吐き出していたら、山ちゃんから思いがけず夕食の誘いがあった。
久々のトマオニへ。どこかぎこちない空気感で当たり障りのない話題ばかりが続く。本当に話したいことはこれじゃないのにと思いながらも、その肝心の話題を一向に切り出せずにいる自分が何とも歯痒かった。
彼と外食するときのいつものあのワクワク感が今日は全くなかった。誘ってくれたことはもちろん嬉しかった。でも話してみると何だか相手に合わせようとばかりしてぐったりと疲れてしまった。
帰りの車内でようやく「この前たかやと電話したんですけどね」と言った感じで切り出すことができた。都会での暮らしをつい懐かしんでしまうこと、周りの近況を聞くとつい羨んでしまうこと、何かをしなきゃとつい焦ってしまうこと。そんなことを洗いざらい話した。
その反面、彼はどんどん新しいことをやっている。ちゃんと行動している。でも本人はただ真似ごとをしているだけだと言う。だからワクワクはしないのだと。もっと独創性のあることがしたいと彼も彼で悩んでいるらしい。
自分が上手くいっていないとき、他人はみんな上手くやっているように見えて余計に落ち込んでしまいがちだ。でも上手くやっているように見せるのが上手いだけで、本当はみんな悩みや不安を抱えながら生きている。
弱音や本音は身近な人にほど言いづらいものだったりする。余計な心配をかけたくない、空気を壊したくない、面倒な人だと思われたくない。理由は様々あると思うけど、一人でため込んでいられるほど人間はそう強くない。
僕が本当にやりたいことは、そういう弱音や本音をさらっとさらけ出せる場所を作ることなんだと思う。だって何より僕自身がそれを必要としているから。
いつかあなたの話も聞かせてね。