親父の車がついに売れた。いずれはこの実家のマンションも売ることになるだろう。今の自分の収入ではローンを引き継ぐことは到底できない。一人息子でありながらこんな体たらくで両親には本当に申し訳なく思う。
今まで良い子であろうと環境や常識や世間の目を気にしながら生きてきたように思える。その反動が音楽や映画の嗜好に表れている。しかしそれは結局誰のためでもなく自分を守るために他ならなかった。良い子のふりをして当たり障りのない関係を築いていただけだ。
収入、学歴、肩書き、才能それらを誰よりも意識していたのは自分自身である。だから絶えず無力さを感じていた。外ばかり見ていてもちっとも前には進めない。やるべきことをやる。それに尽きる。