旧友AとOと6年ぶりに集まる。Aとは先に待ち合わせて2時間ほどお茶をした。17時半ごろにOが合流。近くの居酒屋に入ってさっそく昔話に花を咲かせる。中身はちっとも変わらない。いじられることが嬉しいと思える日が来るとは思わなかった。

 

その後カラオケに流れたものの、一切歌うことなくひたすら会話に興じた。会話をすることによって僕らは自分自身を客観視することができる。深刻な悩みだってひと度打ち明けてしまえば途端にその深刻さを失ってしまう。内にこもり続けていたらそのうち本当におかしくなる。

 

Oは来年また結婚するらしい。Aは彼女と楽しいクリスマスを過ごしたらしい。彼らの話を聞いていたら心の奥がほんのり温かくなるのを感じた。僕も誰かと愛を築きたいと思った。その願望は肉親や同性の友人には決して叶えられないことだ。どうか素敵な人と巡り会えますように。

 

それから三軒目へ。あーあ。時間はいつだって残酷だ。僕らは嫌でもまたそれぞれの日常に戻ってゆかねばならない。これほど名残惜しいと思ったことはない。学生の頃は嫌でも毎日顔を合わせていたっていうのに。

 

別れ際Aがふいに泣き出した。咄嗟のことで僕はどうしていいか分からなかった。すると次第に目の前の景色が滲んでいって、ついには涙が頬を伝ってくるのが分かった。Oも涙目になっていた。僕らはばかみたいに泣き合って、それからぱっと笑った。

 

Aが最後に写真を撮ろうと言った。彼らしくもないセリフにまた笑った。帰り道Oとしみじみ語り合った。俺ら一生もんだよなと恥ずかしげもなく言うOがひどくかっこよく思えた。

 

友達って素晴らしい。遠くへ行く決断をしたあとで、そのことに気付いてしまうなんて僕ってやつは本当に間が悪い。人生はタイミングが全てだと言うけれど、じゃあこの出来事は一体何だっていうんだろう。少なくとも、決断が少し揺らいでしまったのは確かだ。