5日目。9時ごろ再びニシケン農園へ。すすき取りの続き。たかやも少しは慣れたようで会話を挟みつつ軽快に作業に当たる。12時過ぎに家に戻り山ちゃんに連絡。昼食は気になっていたちゃやで食べることに。今日はそのままわがらん家に泊まることに決め身支度をする。

 

13時半に家を出る。自転車をのんびりと漕ぎながら途中イオンで救急セットを買いつつわがらん家へ。ちゃやに着いたのは15時前。店主らしき女性から今日はもうおしまいと言われるも、事前に連絡していたこともあって特別に入れてもらえた。店内の雰囲気はどこか懐かしくて妙にほっとした。カレーは結構辛いと言うのでハヤシライスにした。結果としては大正解だった。

 

店主は20年前に大阪から移住してきたらしい。最初は関西人特有のボケが通じず苦労したそうだ。今でも自虐ネタは自重しているらしい。その後も店主の話は続き気づけば17時になっていた。店主もこのあと焼き窯へ行くと言うので相乗りすることに。

 

窯には数人先客があったがもう祭りの後といった様相でそのうち一人また一人と帰っていった。焼き上がったばかりの茶碗は鈍く輝いていた。ほんの少し楕円形でそれもまた愛嬌があって可愛かった。自分で作ったものは欠点さえも愛おしく思えるものらしい。

 

すっかり暗くなった山道を抜けて北山村の温泉センターへ向かう。入店してすぐに停電。非常灯だけがついたぼんやりとした雰囲気はかえって僕らの心を和ませてくれた。こっちを平常にしたらいいのに。

 

露天風呂に浸かりながら3人で雑談。ああ、とてもいい時間。ストレスはどこに消えた?たかやの髪の話が中心。段々と肩まで浸かるのが辛くなってくる。といって半身浴になると一気に冷える。のぼせる前にお先にささっと退出。座敷にだらしなく座り自販機で買ったハーゲンダッツのクリスピーサンドを頬張る。至福。

 

彼らが出てきた後、小上がりに川の字に寝そべって感情を言葉で伝えることについて話す。たかやは自分以上に喜怒哀楽を表現しない。だから今どう感じているかを推測するしかない。もっと言葉で伝えてくれたら嬉しいと直接彼に伝えた。第三者がいるとこういう真面目な話もできちゃうものだ。

 

帰りの車内では何の話をしたっけ。散々語ったくせに何一つ覚えていない。言葉は湯気のようなものだ。山道を降りたあとファミマでピザまんを買う。外に出て駐車場の車止めに腰掛けてからピザまんで乾杯。学生気分でうめーうめーと笑い合う。いつだって青春。

 

宿に戻ると早速山ちゃんはちゃやで買ったレコードをかけ始める。音飛びがすごい。たかやが状態を見る。その間僕はお吸い物をじゅるじゅると啜った。その後こたつを囲い雑談開始。

 

いずれフィンランドに引っ越すこと、グロ映画のことなど。途中で何度も眠気に襲われたがこの時間を終わらせたくなくてどうにか耐えた。結局2時近くまで話し続けた。

 

ここに初めて来た日のことを思い出して懐かしい気分になった。まだ一年前のことなのにそれでも懐かしさを覚えたのは、それだけきっと充実した毎日を送っているからなのだろう。明日はどんな一日になるだろう。そんな期待感とともに眠りについた。