文学作品には精神分析を適用できない。
作者であってもどんな作品になるかは完成してみるまで分からないため。芸術家に向いているのはあえて脇道を選んで歩くようなタイプの人。
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第2章:2018.3.21
創造とは作者が自ら生み出すものではなく、作品によってその作者が選ばれた結果に過ぎない。昔の作品には普遍的な内容を神話や言い伝えに置き換えて表現しているものが多い。ゲーテのファウストなどもその類い。個人の域を出ないならそれは芸術というよりもコンプレックスである。芸術家は個人としては自由で、創作においては不自由。
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第3章:2018.3.22
幼少期に経験する衝動の中にエディプスコンプレックスというものがある。
神話に登場するエディプスという神に由来する。父親を嫌い母親を独占しようとする行為のこと。性別関係なく起きる。
思春期になると女性はエレクトラコンプレックスを経験する。
これは父親に傾倒し母親を蔑む行動である。成長するにつれ衝動の対象が食欲から性欲へと変わる。性欲はふつう近親者の外側へ向けられる。異常が起きると近親相姦や殺人などの行為に発展する。それを律するのがモラル。モラルは外部から押し付けられるものではなく、自分自身で定めるもの。
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第4章・読了:2018.3.23
超越機能とは意識と無意識を戦わせてそれまでとは全く異なる心の働きを得ること。
意識による判断とは偏見であり、過去の経験や個人の主観によってのみ下される。無意識はそれに捉われないが、普段の生活においては意識が勝るのではみ出た行動を取ることは稀。無意識が勝るのは夜や睡眠時。そのときに浮かぶ空想や見た夢が無意識からのメッセージである。それらを書き留めておくことで自分の内側にある真理に気付くことができる。集団的無意識ともいう。天才とはこのメッセージをうまく拾って芸術の域に高めることのできる人のこと。