朝ノブさんに車で拾ってもらい育生町へ。車中では今住んでいる街の変化や自然栽培のことなどについて話す。11時過ぎに到着。めぐさんと田んぼを囲ってしばし談笑。稲はすくすくと育っていた。購入したものよりも種取りしたもの、3本植えよりも1本植えの方がそれぞれ成育が良く色も青々としていた。
脱穀機が置いてある納屋へ移動する。しかしまあ暑い。もわっと包み込むような熱気でまるで蒸し風呂のよう。納屋は2階建てだった。もしかすると以前は住居として使っていたのかもしれない。庭もずいぶんと広く柿や栗や松などが植えられていた。柿は切り株からも新芽を出していた。生命力の強さに驚いた。
めぐさんは猫のような人だ。ちょこんとその場にいてまじまじと顔を覗き込んでくる。どういう人なのだろうとこちらから踏み込もうとすると、するりと華麗にかわされてしまう。慣れたらきっとよく笑う人なのだろうとは思うけど、あと何度会えばそうなるかは皆目見当もつかない。
1時間ぐらい話して退散。せっかくだからとおくとろ温泉の食堂に寄ることにした。見覚えがあるなと思ったら以前山ちゃんとたかやと来た場所だった。唐揚げ定食を食べながら付かず離れずの会話をした。もう少し踏み込めたらと思ったけど今の自分にはこれが限界。でもやれるだけのことはやった。グッジョブ自分と精一杯褒めてあげた。
車に戻ると、どこか行きたいところはある?と彼が訪ねてきた。てっきりもう帰るのかなと思っていたので嬉しい質問だった。紀和鉱山跡と告げると快諾。169号を走り始めるとすぐに名もなき綺麗な川と出会った。
少し寄り道して川沿いの林道を進むことにした。途中で車を降りて川面のそばまで近づいてみた。水はひんやりと冷たく、川底まではっきりと見えた。所々、深緑に見える部分があった。
来た道を戻り169号を進む。雷の滝や十津川や玉置と書かれた標識などを次々と通り過ぎていった。トンネルを通るたび、全開の窓からひんやりとした風が入ってきて気持ちいい。遠くには青々とした険しい山々。車の通りはほとんどない。軽トラの振動が眠気覚ましにちょうどいい。
時刻は16時ちょっと前。ぼんやりとして暖かくてとても良い時間だった。憂いもなく苦悩もなく、ただただ安らぎに満ちていた。17時ごろ帰宅。次はもう少し深い話なんかもできるといい。