日本近代文学館にて。島崎藤村や芥川龍之介などが書き残した直筆の原稿が多数展示されていた。

小説とは着想してからすぐに本能の赴くまま勢いに任せて書いていくものだと思っていた。しかし実際はもっと計画的なものだった。初稿と最終稿では全く違う内容になっている作品もあり実に興味深かった。

日常の中でふと浮かんだ何気無い考えや言葉たちを見逃さないこと。その時は大したことのないように思えても、拾い集めていけば価値あるものとなる。

帰りの電車の中でふと、この世から欲がなくなっても社会は成立するだろうかと考えた。欲がなければ需要もないということだ。需要がなければ供給もない。供給が無ければ利益もない。利益がなければ商売は続けられない。

 

やはり成立しない。そもそも生存さえできなくなるのではないか。そうなると人間がこうして生きていられるのは欲があるおかげともいえる。

悟った人は煩悩や執著から離れることが真の幸福だと言うが、それは本当なのだろうか。自分一人だけがそうしてもただ浮世離れするだけでないか。

 

同時にまた、悟った人はこんなことも言っている。何事も権威があるからというだけですぐに信じてはならない、と。

言われるがままではなくもっと能動的に生きていけるようになろう。