夜風に当たりながら芋焼酎ロックをちびちび飲んでいた。外からかすかに漂ってくる煙草の匂いが妙に懐かしい気分にさせてくれた。

 

3年前はNと街中でナンパ修行や合コンをしたり、Tとほぼ毎週のように六本木へ行ったりと忙しなかった。楽しい時は一瞬。それでもって後には全く何も残らない。

そんなTも来年には父親になる。時が経てば人も事情も変わる。変わらないものは一つもない。だが周りを見ていると自分は何も変わっていないのではないかと思えてきてしまう。

 

まるで置き去りにされてしまったような気分。過去に一番しがみついてるのは他ならぬ自分なのかもしれない。

そしてこの瞬間もまた過去となる。もう二度と戻ることはない。思い出として残ってくれればもうそれでいい。誰かと会う機会は年々減る一方で、一人の時間はますます充実したものになっている。

 

他人と暮らすのは簡単なことじゃない。結婚は偉大だ。四六時中他人と一緒にいるなんて正直自分には無理だと思う。

今はとにかくやるべきことをただ無心にやるだけ。