川沿いをゆっくりと歩く。前にも後ろにも人の姿はない。視界にあるのは川と木々ばかり。息を大きく吸ってみる。ひんやりとした空気がすっと喉を通り抜けて肺を満たしてゆく。生きた心地がした。
街中の喧騒も未払いの請求書も人間関係のいざこざもここには存在しない。自然の中では心を煩わせるものは何一つない。
帰ろうと思った矢先、雨が降ってきた。どんどん激しくなりしまいにはどしゃ降りになった。まったく止む様子はない。ああ、どうしたもんだろう。さっきまでの穏やかさはすっかり消えてなくなっていた。
状況が変われば見方も変わる。そんな自分の身勝手さに気付かされる良い機会となった。