他人の真似や受け売りをしているだけなのに、まるでそれの第一人者と言わんばかりに周囲から持て囃される人がいる。

 

彼はその虚構の称賛を果たしてどんなふうに受け取るのだろう。自分の手柄ではないと自覚しているならば、受け取れば受け取るほど憂鬱になりそうなものだ。

 

周囲が築き上げた自分像を維持するために彼はより一層努力する。とはいえ彼のアイデアの泉はとっくに枯れ果ててしまっている。そうして彼の人生は、代わりに水の汲めそうな場所を探し求めるという不毛な努力によって消費される。

 

そのうちに彼は自分を見失ってしまうかもしれない。事実、彼の人生の中に彼はいない。全て借り物であり、つまりはスクラップブックのようなものである。それでも彼の功績が揺るぐことはない。他人が称賛するのはあくまで彼の表層に対してなのだから。

 

何はともあれ、彼がそれでいいならこれ以上何も言うことはない。