一年ぶりに会った両親は何だか雰囲気がまぁるくなっていた。これまで言えなかったことや聞けなかったこと、本当にたくさんの言葉を交わした。
あれほど毛嫌いしていた父とも普通に話すことができた。母はそんな僕を見て「まるで憑き物が取れたようだ」と言って笑った。
小難しい本ばかり読んで賢くなったつもりになって他人をどこか見下していたあの頃。少しのことでイライラして、誰も理解してくれないと決め込んで、何もかもがくだらなく思えて、でも一番くだらないのはそんな自分だってこともよく分かってて。
本当に八方塞がりだった。生きたくもなければ死にたくもない。そんな宙ぶらりん状態のまま、日々は淡々と流れていった。ずいぶんと時間が掛かってしまったけど、ようやくケリをつけることができた。もう何も思い残すことはない。
これからどう生きていこうともきっと大丈夫。