山ちゃんとちむ小屋へ行く。なつこさん、濱田こうしさん、ぐっさん、ゆいさん、元寿司屋の娘、地元のおっちゃんと知り合う。
移住者と一言にいってもその属性は様々だ。好きを追求している人は誰もが輝いて見えるし嫌味がない。僕にとって移住は手段ではなく目的だった。そのあと何をしたいかなんてちっとも考えていなかった。
でも段々ともったいないなと思い始めるようになった。これほど自然に囲まれながら、相変わらず家にこもってパソコンと向かい合い続けている。これでは都会にいるのと変わらない。じゃあここでやりたいことって何だろう。
一番はとにかくあの小説を終わらせることだ。それなら書けばいい。何にも誰にも邪魔されないこの環境でなら思う存分に書けるだろう。なのに筆は一向に進んでくれない。生活に追われるばかりで気付けば後回しになってしまっている。
満たされない原因はきっとそこにある。やりたいならただ淡々とやればいい。変に意気込むから避けてしまう。息をするように自然にやればいい。彼らのように。