この鎌倉文学館を訪れるまで私は鎌倉文士というものを知らなかった。調べてみると錚々たる顔ぶれで、今の今まで知る機会が無かったことに驚いた。

 

鎌倉駅に着いたのは13時過ぎ。

まずはふいに見つけた「あしなや」でサンマーメンを平らげる。力強いだしと優しい塩加減がたまらない。隣の席では40代と思わしき男女がブルーハーツのライブに行った話をしている。幸せの形を見たような気がした。

せっかくなので鶴岡八幡宮にも立ち寄る。日曜日の鎌倉はほとんど家族連れやカップルしかいない。ソロには刺激が強すぎた。

江ノ電に乗り込み鎌倉文学館へ向かう。2駅先の由比ヶ浜駅で下車。開くドアは左側。改札機は無い。出入り口のスロープ右手側にICカードタッチ機がある。Suicaならこれにタッチしておけばいいのだろう。切符の場合はよく分からない。

スロープを下り踏切を渡る。まっすぐに進み信号を一つ渡りさらにまっすぐ。段々と登り坂になり遠くに木々が見えてくる。

券売所は門を通ったすぐ左手にある。大人一枚300円。最初、守衛の待機所か何かかと思いうっかり通過してしまった。ちょっとしたトンネルをくぐりしばらく歩くと、ようやく鎌倉文学館の外観が見えてくる。文学館の中は残念ながら撮影禁止だった。窓越しにうっすら海が見えた。

来た道を戻る。帰り道はいつだって短く感じるものだ。江ノ電からJRに乗り換え帰路に着く。時刻は17時20分。車窓から見えるのどかな風景と夕焼けに目をやっているとふと「これから先どうなるんだろう」という思いが込み上げてきた。なぜかは分からない。

 

たった一つでいい。そのたった一つを突き詰めることができたら、この人生も少しは報われるだろう。憧れだけでは何も手に入らない。

 

最寄駅の一つ手前の駅で降り、喫茶室ルノアールへ。最近はルノアールのトアルコトラジャにすっかりはまっている。

 

しばらくすると、40代前半らしき男女が隣の席に座った。察するに今日初めて会うようだ。お互いに当たり障りのない質問を相手に投げかけている。途中からは、男が熱心に仕事の話をして女がそれを興味無さげに聞くという構図になった。

 

仕事に追われて仕事に逃げる日々は、陽だまりのように居心地がいい。でも確実に心の体温は奪われていく。休みの日にまで仕事の話をするのはもはや末期だと思った。

 

と、そんな感じで一日が終わった。