暇だったので過去の日記を読み返していた。読み始めると当時の状況や心情がはっきりと思い起こされてまるでタイムスリップしたかのよう。
月日が経った分だけ自然と成長していると勝手に思い込んでいたけれど、それもどうやら間違っていたらしい。今悩んでいることの答えを過去の私はすでに知っていたのだから。
苦悩の種はずっと変わらない。私は結局同じところをぐるぐると回っているだけなのだと気付いた。それはまるで螺旋階段のようなものだ。当の本人はぐるぐる回りながらも上に登っていると思っている。
そしていざ登り切って下を覗いてみるとそこにはゼロだけが見えた。進んでもいなかったし戻ってもいなかった。そんな現実を突き付けられてそのままその場に座り込んだ。
私はこれまで立ち止まることは停滞することだと思っていた。だから必死で抗って前進や成長を自身に強制させてきた。社会もそれを是としている以上、それこそが正しいのだと盲信していた。
はみ出すのを恐れるあまりそうしていた面もある。だから自ら選択したとはいえ本意ではなかった。属することで得られるものは安心感と不自由さ。それこそが苦悩の種だった。
属している限り真の自由は訪れない。それを知りながらずっとその安心感を手放せずにいた。手放すためにはただ立ち止まるだけで良かった。でもその勇気が出なかった。
それはこれまで自分が築いてきたものを全否定してしまうような気がしたから。ずっとゼロのままだということも知らず、ゼロになってしまうことを恐れていた。
座り込んでようやく私は前に進むことができた。社会からは脱落した。社会人としてはまるで役立たずだ。でも嫌な感じはしない。