老い衰えてゆく親を見てふと侘しくなった。加速し続ける社会の変化についていけなくったとき、彼らは一体どうなるのだろう。

 

子供に戻った親父とヒステリック気味な母。それを傍観する息子。そしてふと気付く。ああ、今目の前に見えている光景は遠い日の私と母に他ならないのだと。今の親父は昔の私で、今の私は昔の親父。

 

私に嫁と子供がいたならきっと、こういう関係性になっていただろうと容易に想像がつく。まったく血は争えない。

 

だからやはり私は結婚に向いていない。そしてこれ以上、この関係性に加わるべきではないとも思った。その関係性に甘えているのは結局、私の方なのだから。

 

私がここにいる限り、彼らは私に良くし続けててくれるだろう。そして私もそれを当たり前のように受け入れる。代わりに私は嫌なものを全て彼らに押し付け続ける。彼らはそれを嫌な顔一つせずに受け入れる。その結果、ますます自我は肥大する。

 

実家を出たいと思っているうちはまだその時ではない。どうしても実家を出る必要があると思えて初めてそれは叶う。これまでにも散々計画を立ててきたが、どれも願望程度のものでしかなかった。でも今ははっきりと「その時」なのだと確信している。お互いのために。