目覚めてすぐに今日はNの誕生日だったなと思いショートメールを送った。きっと返事はないだろう。でも届いてくれたらそれでいい。
朝食後、一服をしていたらふと何も思い煩うことはないという確信が起こった。そのとき何というか淡い光に包まれたような気がして、そこには絶対的な安らぎだけがあった。言葉にするとやっぱり胡散臭い。
運営サイトのソースコードを少し修正した。こうして日々淡々とできることをやるだけだ。人生は突然急には変わらないのだから。期待をせず失望もせず。シーソーの真ん中に立つようなイメージで。
午後からエクセルへ。久々にチーズドッグも注文。ぷりっぷりのソーセージととろっとろのチーズを包み込むやや硬めのパン。この絶妙な関係性こそチーズドッグたる所以。
「ねえ、ママ。隣のおじさん一人で何かぶつぶつ言ってるよ?」
「あの人は今ね、チーズドッグに対して深い瞑想をしているの。まもなく祝福が訪れて、そこに真理を見出すことでしょう。福音はただ彼のためだけに鳴るのです。ああ、幸せな人よ。さあ私たちも彼のために祈りましょう。これこそが人間にできる唯一にして最上のことなのですから。ダバディカルマアーナンダ…」
「ママ…?」
気を取り直してパソコンを開く。結局は書き直す方が選ばれた。スクロールするごとに物語が巻き戻されてゆく。そして完全にゼロの位置に戻ったとき、物語はそこにありながらも無くなった。さあまた改めて始めるとしよう。時間ならたっぷりとある。