小学校の同級生だったながせきくんはすこぶる問題児だった。先生の言うことは聞かないし、机の上はいつも散らかっているし、何か気に触ることがあるとすぐに暴力を振るった。
でも根は優しかった。ただ少し周りと合わせるのが苦手なだけだった。彼の両親は熱心なクリスチャンだったけど彼に対しては無慈悲だった。
僕も何度か叩かれたことがあった。でもそれは僕の方からちょっかいをかけたからで、彼から一方的にそうされたわけではなかった。でも先生や周りから見れば悪いのは彼であり、僕はただの可哀想な被害者でしかなかった。それでも彼は弁明することもなく孤立を深めていった。
彼はよく授業中に分厚い本を読んでいた。何をそんなに熱心に読んでいるのだろうと気になって表紙を覗き見てみるとそこには「完全自殺マニュアル」と書かれてあった。彼はまた、掃除の時間に長ほうきを振りかざして天誅と呟くこともあった。それに黒い服ばかり着ていた。
当時の僕らは当たり前のようにそんな彼の個性を受け入れていた。誰一人として彼のことを病気扱いする者はいなかった。なぜならその概念が無かったから。
個性が障害として扱われるようになってから世の中から受容性や多様性が失われてしまったように思う。他人が少しでも変なことを言ったりやったりするとすぐに病気扱いする病気な人が増えたとも感じる。
知り過ぎると碌なことがない。無知なくらいがちょうどいい。
●今日のこと
・Tからの修正対応。補助金が通ったらしい
・夕食後、運営サイトを諸々と手直し
・れもんさんから数日ぶりの返事
・寝る前に抜こうと思ってやめた