実に5年ぶりの再会。少し顔がふっくらとしていた。話を聞くとどうやら長らく心の風邪にかかっていたらしい。でも表情を見る限りは元気そうだった。笑ってもいた。堕ちるのは一瞬だと改めて思い知った。

 

休職中で毎日ゲーム三昧だと自嘲気味に語っていたが、パソコン三昧という点では僕も彼と同じようなものだ。多少金を稼げているという違いだけで。

 

現在のこと、あの頃のこと、これからのこと。本当にたくさんの話をした。それでも全然話し足りなかった。一番驚いたのは外国人の彼女ができたということだった。その彼女に対して、彼のそばにいてくれてありがとうと心から感謝した。時間はそんな僕らに嫉妬したように瞬く間に過ぎていった。

 

記憶は実に頼りない。あの頃のことについて僕はいくつか思い違いをしていた。彼のおかげで執筆の手掛かりをいくつも得ることができた。今日彼と会うことができて本当に良かった。

 

帰り道、人気の無い裏道を歩いていたらふと煙草が吸いたくなった。火をつけてゆっくり吸い込むと、何だかとても懐かしい味がした。僕らの過ごしたあの日々は、色褪せるほどにさらにその輝きを増してゆくように思えた。

 

また会えるだろうか。いや、そうじゃない。また会おう。