あっという間の10日間だった。もう帰ってしまうんだなぁと寂しくなった。1人が好きだったはずなのに、今はその状況がとても切なくてやり切れない。いっそこのまま一緒に帰ってしまおうかと考えてしまったほどに。

 

親はいつか居なくなる。当たり前のことだけどその時を想像したら何とも恐ろしくなった。本当に一人になってしまうんだなぁと。

 

そう考えるとこうして離れて暮らすことが何だかとても悪いことのようにも思えてきた。元気なうちにもっと思い出を作っておくべきかも。

 

なんだかんだで僕はあのヘンテコな両親が好きなんだと気付いた。実家を離れてようやくそのことを認めることができた。だからやっぱりここに来たことは無駄じゃなかった。

 

一人ぼっちの家は妙に静かで広くて落ち着かない。このそわそわした感じはまだしばらく続くだろう。ヤワな僕は近いうち実家に顔を出そうと決心するのだった。

 

***

 

ポエム版

 

台風10号とともに両親は去っていった。
あっという間の10日間だった。

駅で見送ったあと「いつか本当に別れるときが来るんだよなぁ」とふとそんなことを考えた。

 

そしたら何だか無性に怖くなった。

一人になって少しは強くなれたと思っていた。
一人が好きだと思っていた。
一人でも寂しくないと思っていた。
でも、ぜーんぜんそんなことなかった。

 

玄関をがらりと開けてただいまと言う。
もう返事はない。
今日からまた一人。

 

祭りの後の静けさは今でもやっぱりまだ慣れない。

分かり合えないと知った上で、それでもとにかく伝え合う。黙っているよりその方がよっぽど面白いと今回両親を見ていて思った。

 

共に生きていけるパートナーをちょいと真剣に求めてみようと思った。こうして36回目の夏はちょっぴりおセンチに過ぎていった。

 

こんなような話をあの時本当は旧友ともしたかった。