より楽しめるようにと落語の歴史や古典落語について軽く調べることにした。
それから試しに立川談志の粗忽長屋を聞いた。が、愚痴と文句を垂れ流すばかりで全くネタに入る気配がない。しばらく聞き流していたら、彼はぽろりとこんなことを言った。
自信があって喋りに来たわけじゃないんです。不安でたまらないから出てくるんです。俺の話は大丈夫かなって言うために来て、で、ああ大丈夫だなってこういうことなんです(動画)
彼ほどの人間でも不安を感じるものなのかと正直驚いた。凡人である僕が不安だらけなのも全く無理はないことだと素直に思った。
14時半すぎに会場に着いた。席に着くとあちこちからざわざわとした音が聞こえてきた。その感じが妙に懐かしかった。
15時になってパッと幕が上がると出演者がずらりと並んでお目見え。時事ネタや自虐ネタがぽろりと飛び出すたび、客席からどっと笑いが起こる。なんて素敵な空間なんだろう。
前座がさっと一ネタやったあとに月亭方正が登場。宿泊客の作った竹細工を大名に売るというネタ。一番笑ったのはビンタはもう嫌ですと言った時。
そんなこんなで笑いも冷めやらぬうちにあっけなくお開きとなった。こうして新たな楽しみを知ると、何でもある都会が逆に羨ましく思えてきてしまう。あの頃もっと楽しめたんじゃないかと後悔さえ覚える。
やっぱりバランスだなぁとつくづく思う。またいつか都会で暮らしたくなったら素直にそうすると自分に約束しておこう。