10代の頃に感じていた全能感は20歳を機にあっさりと崩れ去った。荻窪のあの古びたアパートで、余生を過ごす老人のような心境でただぼんやりと毎日をやり過ごしていた。
幸い部屋にはたくさんのCDと本があった。だから退屈はしなかった。彼らの見せてくれる世界はとても温かく本当に居心地が良かった。
一人じゃないという気にさせてくれた。それこそ彼らのやり方だったわけだが当時の私にとってはそんなことどうでもよかった。
変わっているぐらいがちょうどいい。それはちっともおかしいことじゃない。もし少しでもおかしいと感じてしまったらその時点で何かを生み出すことはできなくなる。最大の敵は他ならぬ自分だ。
そう気付いた頃にはすっかりもう感受性は応答しなくなっていた。
●鑑賞メモ
・ああっ女神さま
・かんなぎ