桜桃の味とグレートデイズを観た。どちらも土曜の午前にぴったりの映画だった。父子の話にはやはり弱い。息子の部屋を観てぼろぼろと泣いた過去をふと思い出した。

 

親父とは昔からずっと馬が合わなかった。会話にならなかったと言った方が適切かもしれない。とにかく気に入らないことがあるとすぐ物に当たる人だった。だから言葉選びには十分気を付けていた。

 

他人を罵る言葉ばかり言っていた親父は、くも膜下によって言語障害を抱えることになった。自業自得だとしか思わなかった。親父の弱った姿を見るのはそれはそれで辛かった。もう5年も前のことになる。

 

意識が戻ったときはもちろん嬉しかった。しばらく経ってから、何であの時死ななかったんだろうなと親父が言ったとき、ひどくがっかりしたと同時に初めて同情が芽生えた。

 

病気になって以降、親父はまるで子供のようになった。要するにこどおじだ。物に当たることは無くなった代わりに、こちらが何を言ってもはいとしか言わなくなった。それでいて全く違うことをする。

 

わざとなのか障害によるものなのか今でも線引きができずにいる。会話にならないのは相変わらずだ。母は忍耐強くあれこれと注意しているが僕はもうとっくに諦めてしまった。正直に言えば見下している節もある。親父に対して心を開くことはもう二度とないと思う。

 

そういうこともあって、父子の話を見聞きすると羨望も手伝って余計に感動してしまう。

 

とはいえ僕にもあの親父の血が流れている。だからきっと息子ができたとしても良い関係は築けないような気がしている。前の日記でもこんなような話を書いた気がする。でも改めて思い浮かんだのでひとまず書き記しておく。

 

午後からはベローチェへ。外は灼熱地獄。席は空いていた。jbの続き。EやMに対する心境など。ここ最近は借り物のような文体になっていたが今日はらしく書けた。いつまでも書いていたいと思った。