オールドと最後にして最初の人類の2本を観る。当たり外れの差が大きいことで有名なシャマラン氏だが今回はやや外れだった。途中まではすこぶる良かった。得体の知れない恐怖にヒヤヒヤドキリとさせられた。その恐怖の向こうに人間がいたということが分かって一気に白けてしまった。
死を目前にした人々が抱く生への渇望や欲望の解放といったものをもっと見てみたかった。その無様な姿にこそ、人間本来の美しさや面白みがあるのだから。でもそれは映像ではなく文字の方が向いているかもしれない。いずれ書いてみよう。
最後にして最初の人類は同名のSF小説が元になっている。妙に眠りを誘うような音楽とナレーションだった。うとうとしながら観ていたらいきなり音が止んで、意識をぐっと引き戻された。目の前には真っ暗な背景と緑色の小さな点滅だけがあった。夢と現実の境界線上に立っているような感覚。未来人からの伝言はもう一切耳に入ってこなかった。軽くハイ。
黄昏色の空を見ながら一服。意識ははっきりしているけど景色はぼんやりとしている。どれほど言葉を尽くしても戯れにしかならない。沈黙によってのみ語られるべきことがある。そこにもはや概念はない。
未来のあなたたちのためにできることは残念ながら何一つない。夏が冬になるように、朝が夜になるように、人はやがて無になる。そして無はまた人になる。数多の無常が無限に繰り返されてゆく。そのうちの一つがあなた。それはただの現象に過ぎず、だからこそあなたは存在しない。まるで流れる雲のように。