顔の部位には植物に関するものが多い。目は芽、鼻は花、耳は実など。からだの「から」とは幹のことを指す。「ち」は不動のものという意味。その二つが合わさると「力」となる。やまとことばは奥深い。
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第1節第2章:2018.2.13
大和言葉では幸いを「さきはひ」と表す。「さき」は花が咲くのさくという意味があり、「はひ」には長く続く状態という意味がある。昔の人は幸せ=心の中に花がたくさん咲き乱れることだと捉えていた。
漢字だと当て字の場合もあるため、その言葉本来の意味を知るにはひらがなの存在が欠かせない。ちなみに名張という地名も当て字で、正しく表すなら「隠」が適切。
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第1節第3章:2018.2.14
イザナミは火の神を生んだ時に自らの女陰を焼かれて亡くなった。冬ごもりとは冬が隠れる=冬の終わりを表す。秋は十分に収穫が取れて「飽き」ることから来ている。あきらめるは本来前向きな言葉。十分に努力したがそれでもだめだったという意味合いがある。つまり、あきらめるのはまだ早い。
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第1節第4章:2018.2.15
古代の人は天も海も「あま」と呼んだ。これは天にも水があると考えていたから。旧約聖書にも同じような考え方がある。ノアの箱舟がその良い例である。田という漢字は卍が変化したもの。春雨とは山に囲まれた地形によるもの。本当の春雨は京都にしか降らないと言われている。
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第2節第1章:2018.2.16
「い」は霊格を表す文字。いきるの古語はいく。いきるは息をするという意味も含まれている。たまきはるとは魂が極まること。死ではなく永遠に続いていくという意味合いがある。みたまのふゆとは魂が振れること。古代の人は恩を与えること=魂が揺さぶられることだと考えていた。漢字で表すと恩頼。
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第2節第2章:2018.2.19
神の語源には2つの説がある。一つは「隠れ身」という言葉が省略されたもの、もう一つは韓国語の「コム(熊)」が変化したもの。英語のベアーには神という意味も含まれている。アイヌ語では熊のことを「カムイ」という。
神は名前を持たず、天皇は名字を持たない。仏は外来語。鎌倉時代、親鸞の開いた浄土真宗によって一般に広まった。浄土真宗では南無阿弥陀仏と唱えるだけで誰でも極楽浄土にいけると説く。日本仏教は中国仏教の影響が強く、お釈迦様の考えからはだいぶ縁遠いものになってしまっている。
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第2節第3章:2018.2.20
恋の語源は乞い。昔の人にとって恋とは相手の魂を乞うことだった。たまくらは互いに腕枕をすること。最も寝心地の良い枕とされた。その地に永住することが当たり前だった時代において、旅は娯楽ではなくとても危険なものだった。村は群がることから。岩枕とは死ぬ時のこと。
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第3節第1章:2018.2.21
昔は全てのことに魂が宿っていると考えられていた。例として言霊などが挙げられる。三島由紀夫の豊饒の海は浜松中納言に着想を得たもの。生まれ変わってもまた同じような人と巡り合うことを「うつし」と言う。
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第3節第2章:2018.2.22
美しいの古語はうつくし。かわいいという意味を持つ。醜いは見にくいという意味。やさしいは痩せるが元になっている。痩せる思いをするや恥ずかしい思いをするといった意味がある。赤とは明るい色のことを指し、かつては黄色も茶色なども全て赤であった。
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第4節:2018.2.23
蝶の古語はてふ。これはサンスクリット語の「Pil(ピル)」から来ている。フランス語のパピオンや英語のバタフライも同様である。すべての言語はサンスクリットにつながっているとも言われる。
本来の日本語であるやまとことばを知り日本人の感じ方や考え方が少しは理解できたように思う。人格は言葉遣いに表れるもの。