こう書きたいと思ってしまった時点でもうそれ以上前には進めなくなる。意図があってはいけないしそれを強要してもいけない。自然であろうとする限り、不自然であることを認めることにもなる。
ここ最近書くことが苦しかった。解放のためにやっていたはずのものにすっかり支配されて、余計に身動きが取れなくなってしまっていた。
書き続けるうちに自然と欲が生まれていた。もっと上手く書きたい、あの作家のように書きたい。そうやって徐々に書記係としての役割からも離れていって、そこでようやく自分の無力さを思い知った。
私によって書かれることは何もない。すでにそれは書かれてあって、たまたま私が掘り出す役に選ばれただけに過ぎない。少しでも傲慢さが顔を覗かせれば途端に降板の憂き目に遭う。
エクセルでいつものようにjbの続きを書いていたら隣の席に仕事のできそうなキリッとした女性が座った。その瞬間、苺の甘い香りが漂ってきた。幸せに香りがあるとしたら、きっとこういう感じだろうなと思った。