分厚いトーストと硬めのハムエッグ。サラダには酸味のあるドレッシングがかけられている。アイスコーヒーは紅茶に変えてもらった。
これまで散々外食を繰り返してきたが、正直自分で作ったものの方が美味しいと思った。それは決して僕の腕前が良いというわけではなく、単に自分に合った味付けを知っているからというだけのことだ。
食べ終えて駅に向かう。ふと奈良駅に立ち寄ることも考えたが、予定どおり京都駅まで行くことにした。車内でTと不動産屋へそれぞれメールを送った。文面を考えるのに思いのほか時間がかかって、送り終わる頃にはもう京都駅に着いていた。
京都駅前はまあまあにぎわっていた。清水寺行きのバス停には行列ができていた。それを見てさくっと東本願寺だけ寄る計画に変更した。人ごみはのーせんきゅー。
券売機で座席を確認するとのぞみはほとんど満席だった。どうせ30分しか変わらないのだし、とひかりで帰ることにした。土産屋を覗くが目ぼしいものがない。3軒ほど回ってクランチとラスクに決定。
12時33分、京都出発。15時過ぎに品川着。それから東海道線に乗り換えて15時半ごろ川崎に戻ってきた。帰りは何だかあっという間だった。たった6日間というのが信じられないくらい濃密な時間だった。普段の日常がどれほど淡白かを思い知った。
エクセルに寄ることにした。幸運にも一番端の席が空いていた。アイスモカを飲みながらここ最近の日記を立て続けに書いた。書いていたらその時の情景がありありと浮かんできた。思い出は何度でも人を喜ばせてくれる。そこが物とは違うところ。
19時ごろ店を出てちゃんぽんを食べてから家路についた。玄関を開けると懐かしい匂いがした。母にお土産を渡し旅のことやTに会ったことを話した。
部屋着に着替えてバッグから荷物を取り出した。旅は完全に終わった。Spotifyを開き「はるのとなり」を聴いた。もうしばらくだらだらとしていよう。
●旅の気付き
・人々は日々淡々と暮らしている
・熊野には人を留まらせる魅力がある。いつか本当に熊野に移住したいと思った
・夕暮れ時、熊野のゲストハウスのベンチに座って洗濯が終わるのを待っていた。不安は一切なくてただ安らぎだけがあった。あくせくする必要なんてどこにもなかった
・旅をしている限り表面しか知ることができない
・観光地を回る旅もいいけど、何もせずにゆっくりと過ごす旅はさらによい
・たった一人でもつながりがあれば十分
・旅の途中でも絶えず物臭な感情は顔を表してくる。不安が完全に消えることもない。旅によって自分を変えることはできない。過度な期待は禁物
・行き当たりばったりとは事前の下調べを全くしないことではない。目的地までの所要時間や交通機関の出発時刻などは最低限押さえておくこと
・都会に住むのはもう十分。今はとにかく自然の近くに住みたい
・車があるともっと色々な場所に行けるんだろうなと思った