中島義道の本を読んだとき、肩の荷がすっと下りた気がした。長年自分を苦しませているものをこの方は見事に言い当ててくれている。

答えはもう出た。もうこれ以上悩むことはない。なのになぜか釈然としない自分がいる。そこでようやく気が付いた。

悩み苦しむこと。それ自体が目的だったんだということに。それを解決されてしまったら残るのは空白だけ。苦悩はその空白を優しく埋めてくれていた。

自分の悩みなんて全く取るに足りないものだということはよく理解している。それこそ偉大な先人たちがとっくに答えを出しているものばかりだろう。

 

かといって哲学書や古典を読んで分かった気になるのはどうも違う気がする。まずは自分の頭で考えてみるべきだとも思う。たとえ悩みを解決するのが目的じゃないとしても。

それにしても「べき」という言葉ほどげんなりする言葉もない。それでいて使ってみたいという衝動に駆られるから困ったもんだ。さっきの場合はどう言うべきだっただろう。

ほーら、また現れた。一度使い始めると際限なく飛び出してくる。なので今回はこの辺で終わりにするべきかもしれない。